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 T.R.Y. トライ : レヴュー(MOVIE)

(Update:2005/05/06)
【公開】 2003年01月04日
<監督>大森一樹 <原作・脚本>成島出 (以上、敬称略)



〔あらすじ〕
詐欺で設けた金で自由に暮らしていた伊沢修(織田さん)。
どぉやら伊沢は、かつてロシアに渡っていた時期があるらしく、ロシア革命で戦った仲間が全員死んでしまうという悲しい経験をもっている。
そのことから、世の中を変えるには正義感だけでは変えられないことを痛感させられ、放浪ペテン師としての生活を送るようになったようだ。

"狙った標的は必ず落とす自信と腕をもつ"、また頭脳明晰で実に7ヶ国語を操り、世界を飛び回るペテン師である。
すきだらけで弱みにつけ込みやすい、そんなあくどい金持ちや武器商人たちが伊沢のターゲットである。
彼らから暴力を使うことなくキレる頭脳を駆使し、仲間のパク(ソン・チャンミン)、陳(市原隼人)たちと華麗なるテクを使ってターゲットのプライドを切り刻む。
だまし取った大金は、そのペテン劇に協力してくれた貧しい人々に施す、そんな優しい男でもある。

順風満帆なペテン師としての生活も束の間、ある日、武器商人・黄をだまして大金を巻き上げることに成功し、貧しい人々にバイト代として施しを与えていた。
そんな伊沢のやり方を取り巻きとして見ていた男がいた......。
ところが伊沢は上海の刑務所へ投獄されることになり、そこで臭い飯をつつくことなる。
伊沢の素性を知った黄は、大恥をかかされた腹いせに闇組織・赤眉の殺し屋(ピーター・ホー)を伊沢のいる獄中へ送り込む。

赤眉に命を狙われた伊沢。そんな伊沢を赤眉から救った男がいた、中国革命家のリーダー・関(シャオ・ピン)である。
彼は伊沢の命の保証と引き換えに革命の協力を伊沢に要求する。
その要求とは、日本陸軍から武器をだまし取ることだ。
先般、武器商人・黄をペテンでだましバイト代を貧しい人たちに施していた伊沢を見ていたのは、この関だったのだ。
関は、この周到なやり口を見て、伊沢の腕を見込んだのだろう。
伊沢は熱血漢の関をうっとうしく思いながらも、「断ったらお前の命はない。俺が殺す!」の関の言葉に渋々引き受けるのだった。

日本陸軍から武器をだまし取る計画に際してダーゲットになる人物、それは......。
日本陸軍の中将で参謀次長・東(渡辺謙)である。
中国大陸進出を目指す野心家であり、頭脳明晰、金や女にも一瞬のすきも見せない鉄壁の男。
この男をペテンにかけるには、ひと筋縄ではいかない、かなり危険な相手である。
しかし、清朝打倒を目指す関、革命グループの紅一点である愛鈴(ヤン・ローシー)らの一途な情熱、そして伊沢の弟分でもある陳の極貧がゆえに両親を失った思い。
そして日本兵に兄を殺された伊沢のパートナー・パクのやる気。
彼らの思いにつき動かされて、用心深く手ごわいターゲット・東を落とす為に伊沢の明晰な頭脳が動き出し、大ペテン劇が始まる。

東が愛犬家だと知った伊沢は、富豪のシェパードを拝借。短時間で調教する。
立派なシェパード犬に東の興味は注がれ、伊沢に声をかけてくる......、まずは無難に接触に成功。
また、職業を貿易商と偽り、東に武器の取引をもちかける。
さらには、東のドイツ人の恩師・メンゲル元帥の話をするために、ドイツに住んでいたと話すが、すかさず東にドイツ語で質問される伊沢。
用意周到だったはずの計画ではあったが、東は伊沢の思惑に感づきはじめる。

しかしそんな折、伊沢が用意した切り札『清朝の皇族(=愛清覚羅載寧=アイゼンカクラザイニン:松岡俊介)』の登場に、東は信じざるを得なくなる。
そしてペテン劇の舞台は、日本から上海へと移り、ここから東の逆襲が始まる。
そして嫌な予感が的中してしまった伊沢に、人生最大のピンチが襲い掛かることに......。

人生最大のペテンが幕を明ける、伊沢のアイテムを紹介しておくと.....
1) 懐中時計: ペテン師なるもの、たった1秒のミスが命取りになる可能性も。
2) 写真: ターゲットが関わりをもった人物や事柄が写った写真は、ペテンを仕掛ける糸口を探す重要な資料である。
3) パスポート: 安住の地を求めず、世界各地でペテンを行う国籍不明?の伊沢にとっての必需品。必要なときは情報屋の汪(夏八木勲)に頼む。
4) シェパード: さすがは一流のペテン師!人間だけでなく動物をも従順にすることができる、驚くべきテクである。
5) 手紙: 東邸から本物の元帥の手紙を盗み出し、筆跡を完璧にマネる。
6) インク: 筆跡だけではなく、インクも重要になってくる。色や質も限りなく近いものを調達するが、伊沢も気づかずにいた微妙なインクのにじみ具合が、東に不信感を抱かせることになってしまう。
7) A型フォード: 伊沢たちは移動に、この車を使う。
8) 葉巻: 敏腕な貿易商を偽る伊沢は、キューバ産の最高級品の葉巻を愛用しているらしい。


〔感想〕
織田さんが、21世紀最初の映画として選んだのが、この「T.R.Y.」!
おおよそ2年ぶりの主演映画。20世紀初頭の上海を舞台に、中国の革命家たちのために、日本軍の武器弾薬を奪取しようとする一人の詐欺師・伊沢の生き様が描かれています。

「武器は頭の中にある」という言葉どおり、頭脳を駆使した騙しあい、そしてアクションも展開されていきます。
織田さんが初めてtryしたキャラクターが、ここに。

撮影の大半が上海で撮影され、共演者にはアジアのいい男たちを迎えての日中韓、そして台湾の合作映画。
上映時間は1時間44分で、昨今の映画の中では短い映画の部類かも。
しかし、この1時間44分には、アジアンティックな雰囲気が漂い、まさに活劇と言えるほどのテンポの良さで話が進んでいきます。
日本の映画界に新しい土壌・ジャンルを創ってくれたと、頼もしい気持ちでイッパイになりました。

観ている側もだまされてしまうトリックとトラップ(わな)の連続、そしてアクションも繰り広げられていきます。
織田さんもインタヴューで「大事故につながるアクションもあったけれど、見どころは、ペテンのトリック。いっしょにパズルを解いていくような映画」と話されていました。

また、一瞬ファッションショーかと見間違うほどの華麗な衣装チェンジもありますが、オンとオフのメリハリをつけた衣装の七変化になっているそうです。
伊沢という男は、軽さももっているけれど過去も背負って生きている、そんな男の美学をも魅せてくれている作品です。

あまり日本では顔なじみではないアジアの俳優さんを迎えての映画であるにも関わらず、興行成績に少なからずも「織田ファン」の底力が担っていると自負しているひとりです^^;
織田ファンではない私の周囲でも、テンポよく物語が進み終始一貫してジャンクなイメージがただよっていて、まさに痛快活劇で面白かった、とお褒めの言葉を頂きました。 皆さんはどんな感想をお持ちですか......。



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